 |
 |
 |
| 株式会社トンボ鉛筆
取締役 生産管理本部
新城工場長 夏目 聖三氏 |
株式会社トンボ鉛筆
物流管理部 新城物流管理グループ
マネージャー 柏木 完師氏 |
株式会社トンボ鉛筆
物流管理部 新城物流管理グループ
マネージャー 渡辺 健二氏 |
株式会社エムツーシステムズ
本社住所:〒790-8567 愛媛県松山市宮西一丁目2-1
東京営業所:〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南3丁目9-7
URL: http://www.m2s.co.jp/
エムツーシステムズ株式会社は、企業の電算部門としてのそれまでの活動から、1992年3月、株式会社として独立した。1994年にパッケージソフト「検品上手」をリリースし、その後も数々のパッケージ、セミパッケージソフトを開発している。2000年には東京に営業所を設立し、現在はソフトウェアの受託開発、情報処理サービスの受託、パッケージソフトの開発、販売、システムインテグレーション、システムコンサルティングなど、幅広く活動している。
| |
| 株式会社エムツーシステムズ
東京営業所 所長 山本 徹氏 |
株式会社トンボ鉛筆は、従来の全国分散型配送センターを再編成し、配送機能の強化と効率化に成功した。これは、それまで全国を多数のブロックに分けていた物流の大部分を「新城ロジスティクスセンター(LC)」に統合し、しかもこれまで通り「翌日配達」を実施するというもので、青森から四国も含めた本州全域を新城一拠点でカバーし、さらにサービスの質も向上させている。この構想の実現に大きく寄与しているのが今回ご紹介する「物流管理検品システム」である。
分散から統合へ-パッケージシステムを活用し、時流を捉えた業務の効率化
トンボ鉛筆の物流システム導入は91年に遡る。社長の小川洋平氏は90年の社長就任以来、ロジスティクス改革に着手、各支店管理だった完成品の在庫と納品を新設したロジスティクスセンターに移管・集約し、「商物分離」によって組織効率を上げるという施策を実行した。以来、10年が経過し、民間物流のインフラと情報化が格段に進歩。同時にお得意先である流通事業者の大規模化と高度化も図られてきた。これに伴って、抜本的にロジスティクス体制を見直すべしという機運が組織内に熟成されていった。とくに、「翌日配送」を約束事とする限り、従前はブロック単位の物流拠点を設けざるを得なかったが、物流事業者の飛躍的な進歩で、集約型のロジスティクスセンターで十分サービスレベルを保つことができるようになってきた。こうした状況の中、現在そして将来の変化に対応し得る物流体制を構築し、同時にそれを遂行していく手段として用いるシステム無しに統合は成功しないだろうと、M2システムズの「物流管理検品システム」導入が決定された。「このパッケージを選択したことが、今回の統合を遂行できた一番の要因ではないだろうか。」と、物流管理部新城物流管理グループ、マネージャー柏木完師氏は振り返る。この「物流管理検品システム」導入の成功とともにトンボ鉛筆では東京LCを2002年10月で閉鎖、本州・四国ブロックの新城LCを中軸に、北海道の札幌LC、九州の福岡LCと1+2のブロック体制を確立した。
求められるのは、情報の増加とサービスの加速に応えられるシステム
PCの普及、インターネット利用者の急増、コンビニエンスストアの機能拡大などといった様々な背景から、時間や場所の制約を回避するサービスが実現可能となりつつある現代社会では、通信販売というビジネス形態は今後も増加が見込まれる。トンボ鉛筆でも、そういった市場のニーズに応え得る物流システムの構築を念頭においてきた。「物流がしっかりした企業というのは物流情報の要求というのが非常に多いのですが、当社では検品システムが入る前はすべて手作業でした。それだと統合したときに手作業で対応できるのかという疑問がありまして、なんとか手作業の部分をシステム的に改良し、時間短縮や精度向上を目指そうと検品システムを導入いたしました。」と柏木氏は語る。その言葉には市場に即した「物流管理検品システム」の導入という重要課題に、真正面から向き合ってきたトンボ鉛筆の姿勢が如実に感じ取れる。
本来、検品システムというのは現場で完了するが、今回トンボ鉛筆が導入したシステムはその枠に収まらない。以前の検品は、全て紙をベースとしていた。まず入力されたオーダーを紙に打ち出し、その紙を持って出荷物の検品作業に入る。その複雑な作業工程の中には、印刷の待ち時間や効率を上げるための段取りなど、改善点がいくつもあった。そこで複雑な手作業を簡素化し入口から出口まで全工程の効率化を図った結果、できあがったシステムは検品システムの枠を超え、物流全体に係わる基幹システムのような役割を果たすに至った。このシステムは運賃情報をフィードバックする機能も備えており、最終的には顧客ごとに掛かった費用を把握できるようにまで設計されている。
「物流管理検品システム」導入により、時間短縮、余剰人員を生み出さない適切な配置、ミス防止の向上など各所でその効果が上がっている。特にこのミス防止には非常に大きな効果を発揮しており、手作業では稀にあった誤りも現在では非常に少なくなっている。また運送会社の協力を得て、納品までのリードタイムを東京から配送していた時のリードタイムから落とすことなく、同様の状況で配達できるという環境が作り上げられた。「東京では東北方面六県を担当していましたが、新城から発送することによって半日どうしても時間的な負荷が増してしまいます。この半日分をカバーするために工夫を重ねた結果、東北方面でも大半のものが翌日午前または翌日中に配達可能となり、非常にご好評いただいております。」と、物流管理部新城物流管理グループ、マネージャー渡辺健二氏は語る。運送会社など各方面からの協力も得て、半日もの時間的ハンディを見事に吸収してしまった効果は、非常に大きなポイントといえるだろう。
物流管理検品システムの概要
「物流管理検品システム」は、まず北海道、九州、沖縄を除いた全国10箇所の営業店の受注データは本社経由で新城LCにリアルタイムで送信される。新城LCはサーバを通じてデータを無線LANでピッキング担当のハンディターミナルへ送信する。指示を受け取ったピッキング担当は製品をピッキングするごとにJANコードと呼ばれるバーコードをスキャンし、入梱完了までの全工程をハンディターミナルで回答する。ピッキングを終了したという情報が入った梱には、名称に当たるセンター内バーコードが自動的に発行、添付される。こうして梱はピッキングと一次検品を同時に終了し、コンベアで二次検品ゲートへと運ばれる。二次検品担当はセンター内バーコードをスキャンし、入梱データを確認画面に呼び出して品目と数量を目視で照会する。二次検品が終了すると出荷ラベルが自動的に出力される。この出荷ラベルには納品明細等に加え、店舗の陳列棚番号のような様々な情報が盛り込まれており、荷受側であるお客様の業務の合理化にも貢献している。
 |
 |
| 物流管理検品システムの概要 |
検品作業の流れ |
「物流管理検品システム」の最大の効果は、ピッキング検品にあたる一次検品と出荷検品にあたる二次検品が同時並行でできてしまうところにある。また時間的な最大の効果は、これまでペーパーベースで全ての出力を待ってから行っていた作業に、待ち時間が全く無くなってしまった点である。サーバ側で受け取った情報を無線でハンディターミナルへ送信すればそこからすぐにピッキングに取り掛かることが可能で、作業時間はかなり変わったという。また、「紙でやっていた時は、荷物の総量を経験から頭の中で推測し、荷札を出してからの作業だったため経験に頼る部分が大きく、また荷物量が推測と違っていた場合は荷札を修正しなければならなかったのですが、物流管理検品システムによってそういうこともなくなりました。」と補足する株式会社エムツーシステムズ東京営業所所長、山本 徹氏の言葉は、同システムへの深い思い入れを感じさせる。その効果のほどは、「我々にしてみたら想像以上でしたね。シミュレーションしてみて、多分これくらいの数値にはなるだろうという予想は持っていましたが、実際の結果はそれを遥かに上回ってしまいました。」という柏木氏の言葉からも明らかである。
 |
 |
| 一次検品作業の様子 |
一次検品から二次検品まで
レーンをスムーズに梱が流れる |
 |
|
| 二次検品作業の様子 |
|
四国および本州全域への配送を可能にする新城の地域性
新城LCのある愛知県新城市は地理的に日本のほぼ中心地にあり、東名高速道路のインターへも近い。この地であればこそ、四国ならびに本州全域の翌日配達を一拠点でカバーできたといえる。以前では出来なかった輸送方式が可能になったのは、豊川周辺のインフラ整備による。1,700㎡におよぶ新城LCを開設したのは91年だが、LC建設の計画が上がった当時は土地の選定に非常に迷ったという。東京と大阪で本州をカバーするという考え方がひとつの基本だった。しかし大阪と新城の地理的条件を比較したところ、新城の方がより適当なのではないかと判断された。また新城は自社の土地であるため、建設コストを低く押さえられるといった利点もあり決定が下された。その後、このLCを拡張させるに至ったのは新城の将来性を見越してのことだ。現在のインフラに続き、新城には将来第二東名のインターチェンジができる計画があるのだ。
分散から統合型への体制シフトで、輸送と在庫コストの削減を図る
トンボ鉛筆の商品ラインは全地域共通であり、いずれのLCでも同一の商品が流通している。唯一の違いは新城には工場が併設されていることだ。トンボ鉛筆の製品は基本的に、新城工場のほかタイなど海外で生産されるものも全て新城へ到着する。以前は本州の配送を東京と新城でカバーするために、新城のストックポイント(SP)から一度東京LCへ製品を納入するというコストが掛かっていた。「新城の在庫、東京の在庫とありましたが、東京の在庫が減れば在庫金額削減という形になります。その辺の大きな狙いもありました。」(渡辺氏)また全国で約8,000件にも上る最終的な配送先はほぼ問屋だ。品目も頻度も少なくないため、配送や管理費は決して小さくない。それだけに、今回の統合は配送コスト削減も見込んで実施された。生産工場と在庫管理や配送をするLCが同じ敷地内にあれば、それだけでコストをカットできる。現在は北海道と九州LCへのみ10日から一ヶ月分の在庫を一旦納品し、そこから道内と九州内へ配送しているが、配送先の大部分を占める本州と四国へは他のLCを介さず直接配送するため二度運ぶ必要はない。しかしながらこれだけの大統合にも、増えた床面積は発送作業用に約65坪分だけである。あとはレイアウトを変更し、そろばんコンベアでレーンを作り作業効率の向上を図っている。ピッキングされた商品はレーンに乗せられ、検品のところまで流れてくるという仕組みになっており、特別場所を大きくする必要はなかったという。これらの仕組み作りは、商流と物流を完全に分離させ、各営業店には営業活動に専念してもらおうという小川社長の長年の理念によるものだ。
既存パッケージを活用し、大規模システムを驚異的な開発期間で実現
今回の物流センター統合にあたり、2002年4月8日にプロジェクトチームを発足し11月末までに完成をさせるという予定で動き出した。プロジェクト自体の完成は11月予定だが、ほぼ予定通り10月には8割方が完了した。全体では約7ヶ月の開発期間ということになる。「東京LCからの移管作業を7月から4回、4ヶ月に分け段階的に行いました。一度に移してはリスクがありましたので徐々に取り入れ、10月に完了しました。」(渡辺氏)つまり、開発を始めてから実質4ヶ月目で既に稼動していたことになる。「その前年から、検品システムに関しては山本さんの方と私とでかなり詰めていたんです。LC統廃合の話が上がる前はこの検品システムがメインだったんです。ところが2002年2月くらいから、それと合わせて統廃合しようという話になり、その時点で統廃合というのが第一目標、検品システムは次ということになったんです。むしろ統廃合を遂行するために検品システムが必要だったということです。」(柏木氏)
では一体どのようにして、システムの設計から、開発、テストまでをこのような驚異的なスピードで実現できたのだろうか。その謎は山本氏が解き明かしている。「M2のパッケージという叩き台があったのです。ま、パッケージの威力かと・・・(笑)それからマジックの開発性です。それにこちらの元になるお客様がもう一社ありまして、ある程度仕組みのできたものがあったんです。それを元にトンボ鉛筆様用に作り変えたということですね。二次検品の部分はトンボ鉛筆様オリジナルで、ですからそこは全くの新規ですね。それ以外の部分はパッケージを主体に作っています。」それに加え、トンボ鉛筆の非常によく整備されたマニュアル類の存在は大きいと山本氏は付け加える。「ルールがしっかり決まっていて、ロケーション管理などのインフラが整っているんですよ。普通、物流システムを入れるとなると、ロケーション管理ができていない、品番管理ができていないなどということがあるのですが、トンボ鉛筆様ではそこがしっかりされていました。ですから非常にすんなりと導入できたんです。これまで手作業でやられていたことを単純に機械に置き換えるだけで、運用は全く問題がないというのは大きいですね。」(山本氏)
プロジェクトの中間報告でもかなり社内を驚かせたこの開発速度を、柏木氏も驚異的だと評価している。「現場ではかなりきついことも言いました。山本さんにはそういう意味でかなりよく応えていただきました。それが無かったら多分今回のプロジェクトは空中分解していたと思います。」柏木氏はまた、今回のプロジェクト成功の鍵のひとつとして、プロジェクトチームの編成も挙げている。「今回のプロジェクトを、部門に関連した人材、より現場に近い人材を総勢16名集めて進めたことも、成功できた一つの要因であると思います。情報システムの方はある程度完成されたものがありましたので、それを検品システムに合わせる作業になりました。システムと並行して現場の方が動かなければどうしようもありませんので、より現場に近い人材をプロジェクトのメンバーに組み込んだことで、非常にスムーズに行ったのではないかと思います。」
 |
| 左から柏木氏、夏目氏、渡辺氏、山本氏 |
今後の取組み課題はサービス精度の向上、目指すはファイブナイン
トンボ鉛筆の検品精度は元々高く、現在は99,87…%である。しかし当面の目標は99.9%、最終的に目指すのは99,999%以上の精度だという。現在の数値も決して低いとはいえないが、それではまだまだだという。流通では精度ファイブナイン、すなわち99,999%が業界目標となっている。至極シビアな世界なのである。トンボ鉛筆の物流管理検品システムは、現在の体制で完結したとは言い切れない。今も試行錯誤を繰り返し最適な体制を模索しているのだという。これからもより優れた体制とサービスの質や精度の向上のために、その改革は続いていくことだろう。
|