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Magic活用事例

株式会社十川ゴム( Togawa Rubber Co.,Ltd. )

 基幹業務システム

十川ゴム徳島阿波工場

十川ゴム徳島阿波工場


株式会社十川ゴムは、本社のある大阪を中心に、北は札幌から南は福岡まで日本全国に支社、支店、営業所ならびに工場を構えている。代表的な製品は工業用ゴム製品、樹脂製品であり、取引先は国土交通省、農林水産省、防衛庁、各地方自治体、電力会社、ガス産業、電鉄といった公共もしくは公共性の強い団体から、大手ゼネコン、船舶・車両産業、家電業界、ビール産業、重化学工業各社、医療機器産業など、あらゆる分野に渡り枚挙にいとまが無いほどである。

 今回は徳島阿波工場をお訪ねし、取締役工場長 十川 利男氏、電算課課長 芝原 芳資氏、電算課主任 須見 和夫氏、ならびにシステム開発に携わられた日本システム開発株式会社 SI事業部基幹システム開発グループ マネージャ 庄野 徹氏、同開発グループ 田村 俊久氏より、現在稼動中の「基幹業務システム」に関してお話を伺った。


 株式会社十川ゴム 概要

  創 業: 1925年5月25日
本社所在地: 大阪市西区南堀江4丁目2番5号
  資本金: 6億7,289万9,800円
  従業員: 890人
  事業内容:

工業用ゴム製品を中心とした、製造および販売業務・ ゴムホース
 ・ 樹脂ホース
 ・ 押出・成形
 ・ 型物
 ・ ゴムシート
 ・ その他

  URL: http://www.togawa.co.jp/

十川 利男氏 芝原 芳資氏、須見 和夫氏
株式会社十川ゴム
取締役工場長
 十川 利男氏
株式会社十川ゴム
電算課課長 芝原 芳資氏、
電算課主任 須見 和夫氏

 日本システム開発株式会社(JSD)
  本社住所:〒770-0044 徳島県徳島市庄町5丁目81-80
  東京営業所:〒140-0013 東京都品川区南大井5丁目26-11
  URL: http://www.jsdnet.co.jp/

日本システム開発株式会社

日本システム開発株式会社
本社社屋

 日本システム開発株式会社は、昭和47年6月に電子計算センター日本システム開発として創業した。以来、数々の受託システム開発やパッケージ開発を手掛けている。平成4年には東京営業所を設立し、平成7年に戦略営業情報システム「Sales Soldier」、翌年に開発支援ツール「Genesis for dbMAGIC 6」、更に翌年には戦略営業支援システム「営営Oh!」と立て続けに優れたアプリケーションを世に送り出している。また、平成9年には自社開発の「電子ペン」で第一回徳島ニュービジネス大賞最優秀賞を受賞。その技術を活かし、センサ技術にて米国特許を取得(特許番号:5949293)。創立より30周年を迎えた今年、システムの受託開発、パッケージソフトの開発・販売、システムインテグレーションなどの分野で更なる飛躍を続けている。

金岡 秀司氏
庄野 徹氏
田村 俊久氏
日本システム開発株式会社
代表取締役社長
金岡 秀司氏
日本システム開発株式会社
SI事業部
基幹システム開発グループ
マネージャ 庄野 徹氏
日本システム開発株式会社
SI事業部
基幹システム開発グループ
田村 俊久氏

 基幹業務システムのご紹介 

 株式会社十川ゴムは、徳島県阿波町出身の十川栄氏が大正14年に大阪で創業以来、道徳・経済一体の経営を実践し、事業を通じ「自己を活かし、相手を良くし、多くの第三者に益をもたらす」という三方善の精神を経営理念に掲げ、80年近い歴史を持つゴム業界の老舗企業である。主たる製品は工業用のゴム・樹脂製品であり、機械などの部品として利用されることが多い。各製品は、徳島阿波、徳島市場、奈良、堺の四ヶ所にある工場の各ラインで製造される。これら工場を含め全国に12拠点を構え、あらゆる業界に取引先を持つ十川ゴムのマークは、太陽を背景に駆け上がらんとするライジングホースであり、地域によっては高校野球の中継などで目にした方もいるかも知れない。この十川ゴムの基幹業務を長年支えているのがMAGICである。

 5万点を超える品揃えで、業界を問わず特殊製品の製造に大きな強みを持つ十川ゴム

 十川ゴムでは代表的なLPガス用ホースといった汎用品ばかりでなく、様々な特殊仕様製品を製造している。基本となる製品に組み合わせる金具によっても製品の種類が変わるが個々の金具は取引先ごとに規格が異なるため、結果的に一般向けに製造される汎用品と違いオーダーメイド製品となる。十川ゴムの強みは、競合企業に負けないこの特殊製品の製造力にあり、納入先にとって非常に重要なパーツを請け負うことも少なくない。このことは十川ゴムが日本国内におけるゴム製品製造の創生期から参入し、長年のノウハウを蓄積してきたことに起因していると言える。

同時に十川ゴムは特殊製品を得意とすることにより、寧ろ得意分野を限定せずどの業界とも満遍なく取引きを展開でき、販売網の拡張に成功していることも大きな強みとなっている。またドイツ、韓国、フランスと技術提携あるいは技術供与をするなど、業界の中でもかなり積極的な活動を繰り広げている。

販売体制は、全国に8箇所ある本社、支社、支店、営業所がそれぞれ代理店を持っている。多くの場合その代理店を通じて販売され、代理店は更に小さな代理店を複数持っている。また大手企業などには十川ゴムが直接販売しているケースもある。

 オーダーと製造ラインの管理

 特殊製品を得意とする十川ゴムであるが、特殊製品と汎用品とでは生産体制が異なる。汎用品は生産計画に基づいて製造され、大阪府堺市にある配送センターを中心に全国の営業拠点などでストックされている。注文が入れば即時出荷が可能だ。それに対し、特殊製品は全てオーダーが入ってからの製造となる。原材料は比較的簡単に手配ができるが、金具に関してはオーダーに合わせた加工をほどこさなければならないため入手に時間が掛かる。ものによっては工場へ原材料を運び込んでから完成するまで数日掛かる場合もあり、急ぎのオーダーに対応するために途中で計画を修正することは容易なことではない。しかし特殊製品の注文はほぼ毎日入り、本日受けた注文の納期が前日の注文の納期よりも早いということも頻繁に起こる。その度に生産計画に修正が加えられ、1週間先の計画を確定することも難しい。そのためオーダーと各工場の生産ラインの管理は戦略的にも非常に重要である。今現在、完全に稼動している状態ではないが、その生産計画も今回取材した基幹業務システムに組み込まれており、顧客からのオーダーに極力的確な対応ができるよう人手だけではハンドリングしきれない部分をシステム的に補う工夫が施されている。

 バージョンアップの必要性とMAGICの選定理由

 十川ゴムのMAGICによる基幹業務システム導入の歴史は古い。「オフコン等でコードを組んでというのが当たり前だった時代に、MAGICは画期的でしたね。」と、芝原氏と須見氏はMAGIC導入当時の様子を振り返る。「MAGIC を入れるまではオフコンにCOBOLで組んだシステムを乗せていましたが、MAGIC 導入後オフコンはすべてPCサーバに置き換わっています。」(芝原氏)という。バージョンアップするに至った直接的な原因は、そのDOS版のサポートがいよいよ終了しシステムの延命が難しくなったためである。システムのリプレイスを検討した際、単なるバージョンアップにするのか、あるいは全く新しいシステムを導入するのかといった議論もあったが、業務の流れを改革することは現実的になかなか困難であり、それであればアプリケーションだけを変えて現場の負荷を増やすよりも、これまでのビジネスフローを踏襲し新機能を整えるというリスクの少ない方法が選択された。また全く新規で作り直す場合と投資効率を比較すると、「移行前のシステムや、初期の導入以来蓄積されてきたノウハウを最も活かせるのがMAGICだったのです。開発工数もかなりいいですしね。」(田村氏)最終的な選定に当たっては、まず開発着手前に調査期間として1ヶ月強を費やし、よく使用される画面やパフォーマンスの調査が実施され、その結果からMAGICによるシステムのバージョンアップが決定された。

今回取材したバージョンアップ版の開発にはトータルで1年が費やされた。機能改善を盛り込まないプログラム部分に8~9ヶ月、残りの期間で機能改善部分を盛り込み、さらに本番環境でのテストが実施された。単純にシステムをコンバートするのではなく、V4.3からV8へという格差の大きい変換による現場の混乱を避けるためにも、旧バージョンと極力似通った動き、機能、画面作りなどが要求され多少多めに時間を掛けた。具体的にはバージョンアップ開発に8ヶ月、システム改修開発に7ヶ月、システム導入準備に6ヶ月、そしてデータ移行に3ヶ月を費やした。勿論、可能な作業は同時平行して行われ、実際には開発着手から1年で本稼動に入っている。細かいシステムの概要については次の項目で触れることとするが、全国各拠点で導入されるこの規模の基幹業務システムの開発速度としては驚異的とさえいえる。また今回のバージョンアップの目的は、不要なコストは掛けず極力早く安定稼動させるということであり、機能改善要望は少なかった。その結果2002年5月のカットオーバー以来、既に運用は1年を経過しているが、導入から一週間以内で安定稼動に入り、その後目立ったトラブルも無く今日まで順調に稼動を続けている。

 十川ゴム基幹業務システムの概要

 十川ゴムが全社で導入している基幹業務システムの概要は、大まかに次の通りである。

基幹業務システム概要機能関連図
基幹業務システム概要機能関連図

 まず支社ならびに支店の各営業店では、得意先から送られてくる見積依頼や受注情報を受けて納品書や請求書を発行するために、見積管理、受注管理サブシステム、製造依頼管理サブシステム、売上・売掛金管理サブシステム、発注・仕入管理サブシステム、入庫・出庫指示管理サブシステム、在庫・棚卸管理サブシステムといった販売管理システムが導入されている。営業本部にはほぼ同一のシステムに加えて転送・出荷指示管理サブシステム、マスター管理サブシステム、日次・月次・年次諸統計管理システムが導入されており各営業店からは主にデータを吸い上げる。営業店の倉庫と配送センター間では双方に導入されている入庫・出庫/出荷指示管理サブシステム、在庫・棚卸管理サブシステムを通じて、入庫・出荷の指示と報告が交わされる。各工場では受注・製造依頼管理サブシステム、生産計画・MRP管理サブシステム、製造手配指示・実績管理サブシステム、標準原価計算管理サブシステム、製品入庫・出庫・出荷管理サブシステム、原材料仕入管理サブシステム、加工委託管理サブシステム、在庫管理・棚卸管理サブシステム、原価管理(標準・実際価格)、各種マスター管理サブシステムなどを通じて営業本部とデータが交わされる。また原材料・部品発注仕入管理システム、加工委託管理サブシステム、在庫管理・棚卸管理サブシステム、マスター管理サブシステムを持つ購買部へ、工場から仕入要求や受入検収、加工委託データなどが送られ、購買部では発注データの回答を工場へ送り返す。最終的な情報は管理本部の電算課へ送られ、給与計算サブシステムと人事マスター管理サブシステムからなる給与計算システムや基幹システム全体を統括する統合システム運用管理システムによって管理される。

 追加になった新機能の一つにMetaFrameの導入がある。この導入により、今までは不可能だった営業所とのデータのオンラインでのやり取りが可能になった。また販売管理機能として、これまでファックスや電話で頻繁にやり取りされていた納期問い合わせをシステム上での確認を可能にし、リアルタイムのデータ取得と営業効率の向上に大きく貢献している。

基幹業務システムのシステム構成図
基幹業務システムのシステム構成図

 専用回線を駆使し、全国に分散するサーバの一括保守を実現

 前述の基幹システム概要機能関連図に統合システム運用管理とあるように、販売管理、生産管理、給与計算といった基幹システムのネットワーク保守管理やイントラネットの運用保守管理など、基幹システムの保守管理は種類も作業量も莫大になる。日本システム開発では、十川ゴム全拠点の保守管理作業を広範囲に渡り請け負っており、「非常に助かっています。」と須見氏からも高く評価されている。よくあるトラブルに関しては項目ごとにまとめられたFAQ的な資料が予め用意されており、単純なオペレーションミスなど比較的発生頻度の高いトラブルは、ある程度現場で迅速に解決できる。また現場で解決できない障害が発生した場合は、まず現場からLANを通じて状況を入力できるようになっており、そこで登録された情報は自動的にJSDへ転送され、JSDではその連絡を受けて対応する。保守体制として非常に有効なのは、二社間で専用回線を引いているため、現場へ出向くことなく全国のサーバ画面へ入り込み、直接現象を確認し保守作業にあたれることだ。これにより、会社の営業日や担当者の出勤状態などといった時間的、物理的な影響を受けることなく、非常に効率の良い保守作業を実現している。また現場からの障害報告を携帯電話へ転送させ常にリアルタイムの状況把握を徹底するなど、保守体制には万全を期している。

 基幹業務システムバージョンアップの効果 - 分散型からやがて集中型へ

 営業的側面からみたバージョンアップ後の効果は、全国統一のシステムを使用している販売管理は各拠点からのリアルタイムでの受注情報の入力やオンライン在庫確認など、作業効率の向上においてその効果は期待通りと言える。また製造的側面からみた場合、各工場の取り扱い製品の違いから中に入っている製品のマスターデータこそ異なるものの、4ヶ所の工場で統一システムが導入され運用方法も同一であるため生産状況の比較が容易になっており、且つ各工場でシステムを独自に開発した場合と比較すると、開発コスト的にも相当なメリットがある。更に機能面でもこれまで出来なかった作業が可能になった。例えばプラットフォームのWindowsへの移行に伴い、アプリケーション間のデータ連携がこれまでより格段容易になった。またDOS版ではできなかったイメージファイルを扱うことが可能となったため、製品マスターに組み込むことができるようになった。これは言葉で説明してもなかなか正確に情報が伝わらないという問題を一挙に解決し、非常に大きな効果を上げている。バージョンアップ決定に至った要因の一つでもある。

機能面が拡張されたことも加え、全国12拠点を統一システムで動かしているこの基幹業務システムは、その規模において更に巨大になった。現在の管理体制は分散型であるため、サーバ間の同期を取る作業が必須で苦労もあるというが、MetaFrameの導入を更に社内で進めることによって各拠点にサーバを置かずとも本社一括のデータ集中管理が可能になる。工場の製造に関するデータは膨大になるため一括が妥当かは議論の余地があるが、営業データに関して言えば集中管理が望ましく、現在検討されているところである。

 今後の課題

 これまでもあらゆる業界に向け、様々な製品を送り出してきた十川ゴムであるが、他社との差別化を図り顧客満足度を高めるという目的のもとに、納期短縮、リアルタイムの在庫管理、原価計算など複数の課題が検討されている。

価格競争により価格の見直しは既に相当のレベルまで行われているという状況において、これまで以上の顧客サービスと他社との差別化を図るため、受注から納品までの納期を縮め、顧客満足度を高める方策が検討されている。そのようななか、十川ゴムの強みである特殊製品製造はその性質上受注前に製造しておくことが難しく、この両者をいかに結び付けていくかは今後の大きな課題である。また在庫管理では、一製品の製造工程に数日を要することも稀でないため製造過程にある製品をどこに分類するかという判断が付き難く、リアルタイムの在庫把握が困難になっている。最後に十川ゴムの原価計算は工程ごとに分かれており、一工程で掛かった材料原価、加工費、人件費など全てが原価として積み上げられる。更に次の工程へ進むと、その前の工程での原価に加工費、人件費などを積み上げたものが次の工程での原価となり、この工程が製品の完成まで累積される。ここから原材料費のみ、加工費のみ、人件費のみ、といった項目別のデータを取る計画でいるが、累積データ中から項目別に抽出することはなかなか容易ではなく、製造工程と密接な関係にある複雑な原価管理をどのように改善してゆくかも課題である。

社会貢献という社是を常に基本に据え、製品質の更なる向上や納期短縮などこれまで以上の顧客満足のために、十川ゴムの企業努力はこれからもたゆむことなく続けられていくことだろう。

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