| セコム・グループの一翼をになうセコムテクノサービス株式会社は、
①セキュリティサービスの設置据え付け工事
②ビルの建物の設備機械(自動火災報知設備、空調機など)のメンテナンスサービス
③マンションセキュリティシステムの販売
④IT関連事業
の4つの事業を柱としている。
セコム・グループの中にあって、主にセキュリティサービスの工事やメンテナンスを担当するのだが、実際の工事やメンテナンスの作業は、350社におよび全国の協力会社に依頼・発注される。
これらの協力会社との間で、毎日頻繁に情報のやりとりが発生するが、これまではFAXでのやりとりが中心だった。
協力会社ネットワークと材料注文システム
そこで、協力会社に対して、エクストラネットを構築し、受発注や作業完了の報告などを、すべてインターネット経由で実現する「協力会社ネットワーク」が計画された。
この計画では、まず最初に、セコムテクノサービスから協力会社に対する情報公開から着手された。「取引要綱」などがPDF形式で公開されており、協力会社をこれをダウンロードすることができる。今後は、工事マニュアル、顧客満足度調査のためのアンケート用紙などもPDF形式で公開する予定だ。
「協力会社の中には、パソコンすらないところも少なくありません。このため、まずはパソコンとネットワークを導入し、協力会社のIT環境を推進したのです」(佐々木正三氏 システム開発室
室長)
この情報公開を第一弾とすると、これに続く第二弾の展開として、今回紹介する「材料注文システム」が着手された。このシステムは、工事で必要となる各種の材料を、協力会社がWebの画面から発注できるようにする、調達システムである。
セコムテクノサービス側では、原則として材料の在庫は極力もたず、協力会社からのオーダーを集計して、メーカーに直接発注される。午後3時までに受け付けたオーダーは、在庫品については、当日出庫される。材料は約7500商品、処理量は月に約2600伝票になる。
この「材料注文システム」の実装は、松下電器産業のLAN Frontierというパッケージソフトがベースになっている。これはdbMAGICのパッケージ製品であり、その販売管理システムの中の資材管理システムの部分を大枠としているものの、セコム仕様にあわせて全面的にカスタマイズされている。
このシステム、実は「協力会社ネットワーク」が展開される以前から存在していた。 従来のFAXによる受注も、このシステムによって実現されていた。FAXによる注文を受信し、それをOCRで自動的にデータ化するかたちで運用されてきた。しかし、FAX-OCRの読み取りの精度に問題があり、データに対する修正が発生することも少なくなかった。
「従来FAXから受注をデータ化していた部分を、Web画面から受け取るように変更したわけです。この変更作業は、1週間程度で完了しました。」(岩澤孝二氏 システム開発室
係長)
セキュリティと負荷分散
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システム開発室
室長
佐々木正三 氏 |
システム開発室
係長
岩澤孝二 様 氏 |
このシステムの最大の特徴は、ネットワーク構成にある。
協力会社からのアクセスは通常のインターネット経由であるため、セキュリティの確保は欠かせない。そのため、セコムのサイバーセキュリティが利用されている。このサービスは、不正侵入検知サービス、なりすまし防止サービス、ウイルス感知サービスで構成される。とくになりすまし防止については、セコムテクノサービスのサイトであることを協力会社に証明するために、独自のロゴマークが表示される。クリックすると、証明書が表示されるしくみになっている。
さらに、全国64カ所にあるセコムテクノサービスの営業所は、フレームリレー専用線による広域ネットワークでつながれている。この広域ネットワークは、イントラネットとして使われており、これらの営業所からのアクセスも同時に発生する。端末の総数は600台(そのうち200台はdbMAGICクライアントを使用)と大規模であるため、V7で運用していたときには、サーバーに負荷が集中した。
「レスポンスが悪いね、という反応もありました。そこで、V7をV8にバージョンアップすることで、負荷分散をはかりました。これまでシステムの入口部分で処理が飽和していたのですが、V8の3層アーキテクチャを活用することで、安定性が増し、システムが落ちることがなくなりました」(岩澤氏)
2000年問題への対応にあわせて、基幹システムをdbMAGICに移行
現在、セコムテクノサービスの基幹システムは、すべてdbMAGICで作られている。それまでは、基幹システムの一部で使われていたにすぎないdbMAGICを、基幹システムに全面採用するに至ったのはなぜか?
「基幹システムを全面的にdbMAGICにしたのは、2000年問題への対応があったからです。それまでのシステムはCOBOLで作っていたのですが、COBOLだと2000年問題への対応が難しいし、開発効率もよくない。そこで、dbMAGICの生産性の高さを評価していたこともあって、基幹システムをdbMAGICに全面的に移行することにしました」(佐々木氏)
COBOLからdbMAGICへの移行作業は、当初1年で完了する予定だったが、実際には2年がかりのプロジェクトになった。開発に遅れはつきものだが、dbMAGICへの移行作業で、どんな問題が生じたのだろう。
「COBOLを知らない人、たとえば社内公募により、はじめてシステム開発の仕事に携わることになった人でも、dbMAGICの講習を受けた3ヶ月後には、もうプログラムが組めるようになり、半年後には開発の仕事ができるようになりました。ただ、COBOLとdbMAGICの両方知っている人が多ければいいのですが、COBOLしか知らない人が、dbMAGICしか知らない人に、その仕様を伝えるのが、案外難しかったようです。こんなに大変だったら、はじめからdbMAGICで作った方が早かったのではないか、という声もあったくらいです」(佐々木氏)
このように、COBOLからdbMAGICへの移行作業には、多少の苦しみはあったようだが、いったんdbMAGICだけの世界になってしまえば、開発者にとっては後のメンテナンスが楽になる。
「これまで、COBOLだと、データベースの定義を拡張したくても、なかなかできなかったのですが、dbMAGICになってからは、念願どおり、いつでも簡単に拡張できるようになりました」(岩澤氏)
今後の課題はSAPとの連携

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| システム構成図 |
セコムテクノサービスは、dbMAGICを基幹システムの開発環境に位置づけている点で、セコムグループの中でも独自な存在になっている。dbMAGICを使い続ける方針は今後も変わらないが、セコムグループが管理するシステムとの連携が、課題として浮上している。
dbMAGICで稼動しているビル設備メンテナンスのための基幹システムとは別に、セコム本社のメインフレームで稼動しているセキュリティ工事管理システムがある。このメインフレームは、2001年にリプレースされる予定であり、リプレース後はSAP
R3で再構築される計画だ。このため、セコム側のデータを受け取るシステムをセコムテクノサービス側に必要になる。
「dbMAGIC一本で行くつもりだったのですが、親会社のプロジェクトの影響で、dbMAGICとSAPを使い分ける必要が出てきました。とはいえ、SAPだけですべてを作り込むのは、コスト的にあわないし、使い勝手がよくない部分もあります。そのため、SAPのシステムの外側に相当するシステムについては、今後もdbMAGICで全部作っていくことになるでしょう」(佐々木氏) |