| 自社開発のPDMシステム―ADAMS
ムーグ社は、航空機の油圧制御に使われるサーボ弁という装置の専門メーカーである。
このサーボ弁やアクチュエータの技術は、飛行機だけでなく、人工衛星、F1マシン、発電関係から、CDの製造に使われるインジェクションマシンまで、その応用範囲は多岐にわたる。米国本社の他に、日本、イギリス、ドイツに生産拠点があり、世界20カ国に活動の拠点をもつ多国籍企業でもある。
ムーグインターナショナルの日本法人である日本ムーグでは、96年からPDM(Product
Data Management System)の自社開発に取り組んできた。ADAMS(Advanced
Data Management System)と呼ばれる同社のPDMは、現在その基本部分はdbMAGIC
V7に統合されており、
- 製品スペックの管理
- 部品表の管理
- CAD図面の管理
を実現している。
このPDMシステムのフロントエンドは、CADシステムになっており、エンジニアは、バックエンドにあるdbMAGICの存在を意識しないで使える。このように、CADシステムとdbMAGICがシームレスに連携できる構成にADAMSの特徴がある。
このようなPDMを自社開発するに至った経緯は、CADシステムをUNIXベースからWindows
NTベースへ移行したことと密接に関係している。
「NTベースのCADシステムに移行するときに、困ったことがひとつありました。UNIXベースのCADでは、PDMが提供されていたのですが、NTベースのCADには、そのようなPDMがなかったのです。そこで、PDMを自社開発することにしました。開発に1年ほどかかりましたが、それまでUNIXベースのCADが提供していたPDMと同等なものが、dbMAGICですべて再現できました」
(立見直樹氏 アプリケーションエンジニアリング セクションマネージャー)
電子メールと統合されたワークフロー管理
ADAMSでは、先に述べた3つの機能の他に、ワークフロー管理も実現されている。
製品や部品の設計変更であるエンジニアリングオーダー(EO)が発生した場合、以下のワークフローに従って、そのEOの承認および採用が、マネージャーによって判断される。
- EOのリクエスト(REO)の発生
- REO番号の割り当て
- REOの承認
- エンジニアの割り当て
- REOの採用
このワークフロー管理は、電子メール(Outlook)と統合されており、EOの申請は電子メールで行なうことができる。EOの承認や採用が判断されたとき、その結果は、関係者に電子メールで自動的に通知される。個々のEOの状態は、dbMAGICによって管理されているので、EOを特定して、それがいま現在、どのような状態にあるのかを画面でチェックすることもできる。
ADAMSのWeb対応をdbMAGIC
V8で実現
ムーグ社は多国籍企業であるため、開発する製品が日本国内だけで完結することは少ない。
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アプリケーションエンジニアリング
セクションマネージャー
立見 直樹 氏 |
「これまでは、海外の拠点から図面やスペックをもらう立場だったのですが、日本から配布しなければならないことが増えてきました。けれども、海外の拠点からメールで依頼がきて、それに対応する図面を用意して、FAXで送るなり、スキャナで取り込んだものをPDFにして送信する、なんてことをやっていました。そこで、こうした手作業の部分を自動化して、見たい人が見たいときに見れるようにしてしまおう。そのためには、WebをADAMSのインターフェイスとして使ったらいいんじゃないか、と考えたわけです」
そこで、Web対応機能が強化されたdbMAGIC V8を使って、ADAMSが管理する情報を、海外からWebでアクセスできるように、インターフェイスが拡張された。
ADAMSのWeb対応の最大の特徴は、図面データが最終的にPDFで提供される点にある。
「実は、CADシステムが国ごとに違っているのです。たとえば、日本で作成したCADデータには、日本語のテキストが含まれている場合もあります。このため、CADデータでは図面をワールドワイドに共有できないのです。そこで、図面はPDFに変換したものを出力するようにしました」
CADの図面データをPDF出力する機能は、CADシステムが提供する。この変換機能を、dbMAGICの側から呼び出して、オンデマンドで図面のPDFデータが提供するように、実装された。
「図面に改訂作業は頻繁に発生しますが、そのたびにエンジニアがPDFを別に作成していたのでは、エンジニアの作業負荷が増えるだけでなく、どうしてもタイムラグが生じてしまいます。海外から常に最新の図面が提供できるように、要求時にPDF変換を実行しています」
dbMAGIC V8におけるWeb対応について、立見氏は次のように語る。
「とにかくdbMAGICはお手軽なところがいいですね。他のツールであれば、もっと突っ込んで考えなければならない部分が、dbMAGICでは、簡単にデータベースが構築できるし、メンテナンスも簡単です。APG(AutoProgram
Generator)というdbMAGICの機能を使えば、データベースに対して出し入れする画面が自動生成されるので、それをもとに、細かいところを調整していくだけでいい。
実際、数十~百にも及ぶ画面のひとつひとつをHTMLファイルで作成し、それをしかるべきWebのディレクトリに格納するの作業を、ぜんぶ手でやっていたら、手間がかかりすぎます。変更が発生したときでも、dbMAGICであれば、プログラムの中だけで完結するので、管理がとても楽です。また、HTMLについての詳しい知識がなくても、とりあえずWebが作れるのもいいですね。ゼロから作るのは、大変ですから」
ADAMSの今後の展開
CADデータや各種の文書ファイルを管理する機能は、ADAMSのコア機能として作り込まれている。立見氏は、これを拡張して、設計の段階で発生するさまざまなドキュメントを一括管理できるようにしたい、と語る。
「製品には、それこそ抵抗やコネクタから、油圧の部品まで、多種多様な部品が関係しています。これらの部品は、他社メーカーから購入してきたもので構成されます。エンジニアが図面を書くとき、こうした部品については、時間がないので、メーカー名と型番くらいしか記入しません。しかし、後から、その部品に関する詳しいデータが必要になることが多い。データをもとに、部品の図面を書き起こさなければならない場合もあります。そこで、部品のカタログをスキャナで取り込んでイメージデータにしておいて、これを図面データからリンクできるようにしてしまえば、カタログを探す手間が省けるだけでなく、その部品の図面を作成する作業が、よりスムーズに実現できるでしょう。このように、製品開発にかかわるドキュメントを一括管理できるシステムにADAMSを発展させていくつもりです」
参考
dbMAGIC Version 7 による同社システム構築事例
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